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【Bizクリニック】取引契約書の要は機会損失減少 - SankeiBiz

 企業は事業を継続し、雇用を創出することによって社会に貢献しており、「事業の継続」と「従業員の安全」が大切だ。「事業の継続」に向けては、売り上げを伸ばすために必要な要素である「機会損失」を減少させる必要がある。そのため、契約締結に至るまでに検討した事項が契約書に反映されているかを検証し、必要に応じた見直しを行ってほしい。(となりの法律事務所 パートナー弁護士・沖崎遼)

 「機会損失の減少」とは、「本来得られるべき利益を確実に得ること」だ。一つの例としては、売掛金をはじめとした債権を所定の時期に確実に回収するということがある。

 企業は、取引先との契約の交渉から締結に至るまで、さまざまな要素を勘案しながら検討する。「契約書」はその過程で決めた約束ごとを書面に落とし込んだものだ。2020年4月に改正された民法の契約法の条文には、「契約その他の債権(債務)の発生原因及び取引上の社会通念に照らして」という用語が頻繁に出てくる。契約内容だけでなく、契約の性質、当事者が契約をした目的、契約締結に至る経緯をはじめとする一切の事情を考慮するという意味だ。

 売買における担保責任にも大きな改定が行われた。担保責任とは、引き渡された売買の目的物に損傷などの不具合があった場合に、買主はどのような法的救済を受けられるかという基本的なルールだ。「瑕疵(かし)担保責任」と呼称された改正前民法では、瑕疵の概念や救済内容などが不明確であり、契約書で別途具体的にルールを定めなければならなかった。それが改正民法では「契約不適合責任」となり、救済方法が明確化された。

 これにより、今後締結する契約書に瑕疵という文言が入っていれば、瑕疵の概念を解釈する必要が出てくる。そうすると、改正民法で「契約の内容に適合しない」という用語が規定されたこととの兼ね合いが問題となってしまう。契約の内容に適合するにもかかわらず、客観的に損傷があれば、売主が担保責任を負担するといった損失を招きかねないので、瑕疵の文言は入れない方がよい。

 また改正民法では、担保責任の救済方法として、これまでの「解除」と「損害賠償請求」に加えて、「追完請求」(修補請求、代替物の引き渡し請求など)や「代金減額請求」ができるようになり、責任が多様化した。そのため売主としては、契約書において、担保責任の内容を限定するなどの対応が必要となるだろう。予期せぬ損害を未然に防止することが、機会損失の減少につながる。

【プロフィル】沖崎遼

 おきざき・りょう 北大法卒、北大法科大学院修了。2012年12月弁護士登録。横浜の弁護士事務所を経て18年1月から現職(第二東京弁護士会)。予防法務に力を注ぐほか、中小企業法務を中心に利益の最大化に役立つサービスをパッケージ化して提供。対処法務やビジネスの仕組みに対しての提案も行う。33歳。北海道出身。

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September 01, 2020 at 03:00AM
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