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HIS第2四半期、当期34億円の損失 90店舗閉め、デジタル強化へ - 旅行新聞新社

2020年7月2日(木) 配信

都市部の営業エリアが重なる店舗を閉める。画像は澤田秀雄会長(右から2番目)ら

 エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄会長兼社長)が6月24日に発表した2020年第2四半期(19年11月~20年4月)連結決算は、大幅な減収減益となった。今後1年間で全店舗の約3分の1を占める80~90店舗を閉め、コストを削減する。澤田会長は「コロナの終息予想が困難。まずは手元の資金を残す」と語り、デジタル販売などを強化することで、赤字からの巻き返しをはかる考えだ。

 売上高は前年同期比8・9%減の3443億5300円と新型コロナウイルスの影響で伸び悩んだ。営業損失は14億6900万円(前期は89億7900万円の利益)、経常損失は7億6千万円(前期は88億7400万円の利益)と大幅に減少した。四半期純損失は34億5900万円(前期は49億6400万円の利益)と赤字に転落した。

 事業別の売上高ではエネルギー事業が同50・9%増の140億600万円と好調だった。グループ成長の柱として、発電所の増設などを行う。

 一方、旅行事業は同11・1%減の2995億8900万円。ハウステンボスグループは同28・1%減の98億4800万円と落ち込んだ。

 澤田会長は「(新型コロナウイルスの)大きな影響を受けたのは旅行事業。全世界に対して渡航・受け入れができないことは非常に厳しい」と危機感を示した。

 今後、同社では店舗賃料や人件費などの固定費の20%をはじめ、宣伝費を削減する。

 店舗は今後1年間で、国内263店のうち約3分の1にあたる80~90店舗を閉める。対象は都市部で営業エリアが重複する店舗。澤田会長は「コロナ禍前から閉店を考えていた。店舗の時代は終わった」と付け加えた。

 店舗に代わる販売手法として、デジタル販売の強化と新しいビジネスモデルを構築する。そのため、20人が在籍する新部署「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進本部」を設置する。

 澤田会長は旅行需要の回復について「近距離の国内旅行を皮切りに、遠方国内、海外の順に回復する」と予測。

 当面は、海外業務の担当社員を国内業務へ異動させ、仕入れを強化。バスツアーやダイナミックパッケージを販売する。売上高は19年度から約1・5倍となる1千億円を目指す。

 商材は、訪日旅行でも活用し、受入体制を強化。訪日旅行の総取扱額約460億円をさらに拡大させる。

JATA正会員に 政府へ働き掛ける

 同社は、海外旅行の需要について方面別の回復シナリオをまとめた。

 第1フェーズではグアムと台湾、ベトナム。第2ではオセアニアとハワイ、韓国、その他アジア。第3はヨーロッパと中近東。最終段階の第4ではアメリカと中南米、アフリカと分類した。

 日本旅行業協会(JATA)の正会員にも復帰。日本政府観光局(JNTO)などへの働き掛けで、海外旅行の早期需要回復をはかる。

 なお、通期予想のほか、8月に予定していた持株会社化への移行は、新型コロナウイルスの影響が見通せないことから見送る。

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