夏の待ち合わせは特別だ。
海や花火には夏のワクワクを感じさせる特定の服装が似合うから待ち合わせした時に二人の空気がキュンと甘酸っぱくなるような、そんな自分に仕上げられるよう精いっぱいの準備で朝から大忙し。
まるで初恋の瞬間に戻ったようなトキメキを味わうことができたなら、今日1日のデートの半分は待ち合わせだけで成功したといえるだろう。
さも自分が夏を満喫しているような話をしてしまったが、泳げない、人混みが苦手という夏の二重苦をかかえる自分には、あまりにも縁遠いエピソードである。
……気を取り直したい。
ところで、チャキチャキの江戸っ子である私の祖母は、見事なまでに「ひ」と「し」の発音が入れ替わる。
恋バナ好きな祖母は昔を懐かしみながらこんな話をしてくれた。
「当時は携帯なんてなかったでしょ。だから大変だったのよ、“ひぶや”と“しびや”の待ち合わせ」
もしタイムスリップしても祖母が大切な人とちゃんと落ち合えますように。
そんな思いをこめて今日は“あかさか”で待ち合わせしてみるのはどうだろうか。
爽やかな、レモン香る隠れ家へ
「瀬戸内レモンサワー専門店 go-go」は赤坂駅からほど近い、路地をちょっと入ったところにあって、いかにも隠れ家感満載だ。
きっと特別な時間になるだろうと想像させてくれるポップなレモン色の扉は、誰かにエスコートされるよりも、自分で扉を開けたくなるワクワクした気持ちをもたらした。
扉を開けると、真っ先に目に飛び込んでくるのは、バーカウンターの向こう側一面に並べられたディスペンサー。
皮をむいたレモンがごろごろと漬けられて、かすかなレモンの香りが店の空気をすっきりとひきしめている。
なるほどこれがレモンサワー専門店の気迫。
あえて一つ疑問を持ってみることにした。
そもそもレモンサワーを作る過程でレモンは漬けるのだろうか。
早速、同店を運営する「株式会社未来づくりカンパニー」社長の大羽昭仁さんにお話を伺った。
「通常は漬けないと思います。皮、特に白皮から苦みやえぐみが出てしまうので、それを処理し、試行錯誤してどのくらい漬けるとレモンの味がしっかり反映されるか研究しました。1ヵ月だとまだ浅く、2~3ヵ月くらいがちょうどいい漬かり具合。それ以上漬けるとまたレモンの苦みやえぐみが出てしまうんです」
なんという手間ひま……‼
確かにレモンのカットスライスをグラスに一ついれただけで、終盤にはレモンの苦みが気になってしまうものだ。
悩ませるのは三つのパートナー
究極の1杯が楽しめるに違いない。
一体どんなレモンサワーが完成しているのだろう……?
さっそく注文しようとすると、さらに奥深いレモンサワーの世界への扉がいくつも用意されていた。
「ベースを焼酎、ジン、ウォッカからお選びいただけます」
えぇ……?
映画『マンマ・ミーア!』の主人公になったがごとく、この三つの選択肢の中から真のパートナーを突き詰めちゃっていいんですか……?
魅力的な相手に急に囲まれてしまったことに困ったふりをして、しかしその実悪い気はしていない私は、焼酎をセレクトして定番のドライレモンをいただくことに。
どうか私の運命の人でありますように。
さっそく一口いただくと……。
これは……!!!
突き抜けるようなスカッとしたレモンが体を駆け抜けていった。
こんなにも直球なレモンサワーは飲んだことがなく、一切の甘さも雑味も許さない真っすぐすぎる味に驚いた。
そのシンプルな剛球は私の中でしっかりと輪郭をもち続け、体の内側がまるで透き通ってしまうかと思うほど潔い清涼感で満たされた。
氷屋から購入しているという溶けにくい氷を使用しているおかげで、いつまでたっても味がぼやけることはなく常に最高の状態で私の前に鎮座している。
これがレモンサワーなら私は初めてレモンサワーをいただきました……。
すべてを受け止める器の大きさに驚く
一緒にいただいた黒豚とキャベツの揚げ餃子(ギョーザ)。
ここで揚げ餃子というところがどうしようもなくニクい。
それ以外のペアリングは考えられないというほど両者がお互いを求め合っている。
少し厚めの皮はしっかり揚げられることでザクザクとした食感に仕上がり、ガツンとした旨みで溢(あふ)れる黒豚は申し分がない。
キャベツもゴロッと姿が見える、シャキシャキとした良い存在感だ。
そしてまたレモンサワーに手が伸びる。
なんという真剣勝負。
九回裏では到底勝負は決まりそうにない。
しかし、レモンサワーの器の大きさを続けて知ることになる。
こってり甘めの牛バラとスジ肉のどて焼きも、
スモーキーで魅惑的な自家製の燻製(くんせい)盛り合わせも、
ふしぎなほどに受け止める。
それらがまるでレモンサワーの一部であったかのように、見事なまでに体の中で一つにまとめ上げてしまうのだ。
レモンサワー。
こんなにすごい存在なの?
シンプルなようで、圧倒的に攻め。
私、ついていける?
期間限定にやさしく包まれて
あまりの存在感に軽く打ちのめされている私に、最後にスタッフさんがやさしく、期間限定の塩漬け桜のはちみつレモンサワーを提供してくれた。
なんてきれいなグラデーション……。
わぁ……。
これもまた全然違う。
桜の風味と香りがふんわりと私の隙間を埋め尽くして、はちみつの甘みがやさしくまるく、緊張をほどいてくれるよう。
最後にはレモンのすっきりとした後味で心地よい。
うーん。
もっと知りたくなっちゃう。
さっぱりとしたレモンのおかげで爽快な気持ちで店を出た瞬間、
「あれ? もう会いたいかも」
すぐにそう思ってしまった私は、最後に飲んだあのはちみつレモンサワーのように、甘酸っぱい気持ちを持ち合わせていることに気がついた。
——初恋の味をそっと胸の中にしまいこんで。
次はどんな出会いになるかなぁ。
(文・渡辺早織 写真・林紗記 スタイリング・村井素良)
本日のメニュー
・定番のドライレモンサワー:700円(値段は全て税別)
・期間限定の塩漬け桜のはちみつレモンサワー(近日他の限定メニューに変更予定):700円
・黒豚とキャベツの揚げ餃子:500円
・牛バラと牛スジ肉のどて焼き:700円
・自家製燻製盛り合わせ:1500円
お店情報
瀬戸内レモンサワー専門店 go-go
東京都港区赤坂3-13-12
TEL 03-3584-1125
FBページ:https://www.facebook.com/akasakagogo/
*新型コロナウイルス対策として入り口にアルコール消毒液を設置し、カウンター席は間隔を空けて案内しています。

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"レモン" - Google ニュース
July 24, 2020 at 07:31AM
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