米連邦準備理事会(FRB)は25日、米大手34銀行の健全性審査(ストレステスト)の結果を公表し、新型コロナウイルスによる景気悪化で貸倒損失が最大7000億ドル(約74兆円)に達する可能性があると懸念した。一部の銀行は自己資本比率が最低水準に迫りかねず、FRBは配当制限などの措置を発動した。
FRBは金融危機の再来を防ぐため、深刻な景気後退に陥ったと仮定して、銀行の自己資本や手元資金がどれだけ維持できるか毎年検証している。JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ゴールドマン・サックスなど米銀大手に加え、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)や仏BNPパリバの米国法人なども対象だ。
今回のテストは当初、失業率10%を最悪シナリオと想定していた。その設定を上回るコロナ危機が起きたため、新たに(1)経済成長率が4~6月期にマイナス31%(年率換算)まで下がって直後に急回復する「V字型」(2)大幅なマイナス成長のあとゼロ成長が続く「U字型」(3)21年に再び大幅なマイナス成長に転落する「W字型」――の3つのケースで検証した。
この3つの「コロナシナリオ」では、22年1~3月期までの34行の貸倒損失が、V字型でも合計5600億ドルとなる。W字型なら6800億ドル、U字型の場合は7000億ドルに達すると試算した。貸し出しに対する損失率は、U字型なら10.3%まで高まり、金融危機直後の09年(6.8%)を大きく上回るという。
普通株などで構成する狭義の中核的自己資本比率は、4.5%が最低水準だ。ただ大手34行は19年末時点では平均12%を確保しており「金融危機時と異なり、米銀の自己資本は高水準だ」(FRBのクオールズ副議長)。3つのリスクシナリオに見舞われても、自己資本はV字型で平均9.9%、U字型なら8.2%、W字型でも7.7%を維持できるとした。
ただ、通常は個別行ごとに発表する検査結果を「コロナ危機ケース」では開示を見送った。自己資本比率の低下幅にばらつきがあり、W字型の場合は一部の銀行が5%を下回って最低水準(4.5%)に近づくという。検査結果は経営不安をあおりかねず、FRBは市場を不安定にするリスクを懸念したようだ。
巨大銀行は危機時の損失を吸収できるように、自己資本に2.5%分のバッファー(余裕)を積み増すよう求められている。最低水準の4.5%と合わせた7%が1つの国際基準だが、コロナ危機で多くの大手銀行がそのバッファーを取り崩す可能性がある。
自己資本を保つため、FRBは25日、大手34行に自社株買いと配当増額の一時停止を要請した。配当総額は過去4四半期の平均利益を超えないよう求め、大幅減益のウェルズ・ファーゴなどは、減配を余儀なくされる可能性がある。JPモルガンなど主要6行は、自社株買いと配当を合わせた「株主還元額」が19年に1500億ドルを超え、金融危機後の10年と比べ10倍弱に膨らんでいる。
FRB内には「配当の全面停止案」もあった。欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏の銀行に対して10月まで配当を中止するよう要請している。ただ、配当を全面停止すれば株価の下落は避けられず、かえって追加の資本調達を難しくするリスクもある。主要行は配当維持を求めてロビー活動を繰り返し、配当停止案をひっくり返した。
FRBは金融危機時、公的資金を注入した大手金融機関の報酬制限などで後手に回り「ウォール街救済」と批判された苦い歴史もある。野党・民主党に近いブレイナード理事は25日、独自の声明をわざわざ出して「配当維持は健全性審査の結果にそぐわない」と今回の判断に異論を唱えた。FRBの銀行政策は、市場と政治をともになだめるバランス感覚も必要になる。(河浪武史)
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June 26, 2020 at 02:28PM
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