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レモン畑の感動再現 広瀬智央さん個展 - 読売新聞

 イタリア・ミラノなどで活躍する美術家・広瀬智央さんの個展「地球はレモンのように青い」が6月1日から、「アーツ前橋」(前橋市)で始まる。床を約3万個のレモンで埋め尽くした展示は圧倒されるが、そのアートの狙いはどこにあるのだろう? 同館学芸員の五十嵐純さん(36)に、個展の魅力を解説してもらった。(聞き手・竹田迅岐)

 <美術館の地下ギャラリー。学校のプールの半分ぐらい(約130平方メートル)のスペースが真っ黄色のレモンで埋め尽くされている。近づくと酸っぱいような爽やかな香りに包まれる。1997年に発表された作品「レモンプロジェクト03」だ>

 ――どうしてこんなにたくさんのレモンを並べているのですか?

 「1963年生まれの広瀬さんはイタリアへの留学経験があります。その時、ソレント半島のレモン畑を訪れ、かんきつ系の香りに満ちあふれている空気に驚嘆したそうです。『この感動を多くの人と共感したい』と思ったことが作品の誕生につながりました」

 ――美術館といえば、絵画や彫刻を思い出しますが。

 「当時、芸術作品であまり扱わなかった『香り』に注目した発想が斬新だったのです。会場にはレモンの海へ突き出している桟橋があります。ちょっと歩いてみませんか?」

 ――全方向がレモンの海に囲まれて、溺れてしまいそうです。レモンの香りも強く感じます。ただ、レモンは今回のために用意され、個数や置き方は展覧会のたびに違います。これは「作品」と言えるのでしょうか?

 「このようなアートを『インスタレーション』と言います。その場所に合わせて作品を構築していく手法で、この空間全体が一つの『作品』です。日常生活でこれだけの香りと視覚的な迫力を感じる機会はないでしょう。自分が空間の中に入って体験するのは、これまでない新しい感動を与えてくれます」

 <さらに会場を進むと、もう一つ気になる作品があった。「フォレストボール」と名付けられた巨大な球体だ。表面には無数の植物が飾られ、生命の息吹が感じられる>

 ――あれ!? よく見ると表面を覆っているのは全部造花だ。

 「普通の人は『天然のものが良い』と考えます。でも、人工的に作ったものにだって『美しさ』はあるはずです。広瀬さんは世界中を行き来する中で、『正解は一つではなく、それぞれに良さや美しさ、存在する意義がある』と感じるようになったそうです」

 ――それにしても大きな作品ですね。展示室のスペースにぴったり収まっています。

 「実は、これは展示室の広さに合わせて作った新作です。なるべく大きな球体を作れるように工夫をしました。直径は約2・5メートルあります。重くならないよう木材で骨組みを作り、中は空洞にして軽量化しているのですが、それでも150キロぐらいになりました」

 ――人工物だから地球上でありえない生態系ができる。そこがおもしろいです。

 「この球体もレモンの展示も視覚的に圧倒されます。絵画は写真で見ることができますが、香りは実際にここへ来ないとわからないでしょう。7月26日まで開催しているので、ぜひ美術館に足を運んで体感してくださいね」

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May 29, 2020 at 03:00AM
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