総合商社の業績が急減速している。2020年3月期の連結最終損益(国際会計基準)は、大手7社で5社が減益・赤字となった。新型コロナウイルスの感染拡大で、収益を支えてきた資源事業の市況が急激に悪化。1~3月期に減損など一過性の損失を合計で6000億円超計上した。21年3月期は財務の安定を優先し投資や配当を抑える動きが強まっている。
8日に大手商社の決算がでそろい、20年3月期の最終損益の合計は1兆5984億円と前の期に比べて29%減った。期初には4%増が見込まれていたが、1~3月に石油・ガス開発や米国穀物事業で約4000億円を計上した丸紅をはじめ、一過性の損失が膨らんだ。
三菱商事の垣内威彦社長は会見で「自動車やエネルギー事業に顕著な影響が出ている」と話した。同社は北米シェールガスなどの資源案件や、出資する三菱自動車関連で1~3月期に新たに約600億円の減損損失を計上し、20年3月期の最終利益は9%減。今期業績予想は未定としたが、原油や銅価格の下落により、最終損益を前期比で最大1000億円規模引き下げる要因となる。
昨年は再生エネルギーに強いオランダ電力会社に約4000億円の出資を決めるなど積極投資に動いたが、当面は「財務規律を重視し、投資を厳選する」(垣内氏)。
商社各社はデジタル関連や医療、環境などを将来の収益源と見定め、新規投資を進めているが、足元の収益基盤は資源や鉄鋼、自動車など重厚長大ビジネスに依存する。20年3月期は大手5社の資源部門の最終利益は合計で4000億円超と前の期に比べ4割減った。
住友商事は北米のパイプライン向け鋼管事業やボリビア鉱山事業での損失計上が響き前期は47%減益となった。海外の主要鉱山は操業停止中で、現在の状況が続けば、年間で最終利益を700億円程度押し下げる。キャッシュフロー悪化を警戒し、今期配当は前期から10円減らす。丸紅は資源案件の減損などで前期は大幅赤字となった。今期は約6割の減配と自社株買いの見送りを決めた。
比較的業績が安定していた伊藤忠商事や三井物産も、新規投資などを抑制する方針だ。伊藤忠の鈴木善久社長は「(リスクや経費を)防ぐ・削るを徹底する」と話す。三井物産も今後3年間で9000億円程度の事業売却などで手元のキャッシュを確保する計画だ。
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May 08, 2020 at 06:30PM
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商社、資源安で減損損失など拡大 1~3月期に6千億円超 - 日本経済新聞
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